阿寺山地 白草山(1641m)、箱岩山(1669.1m)、高森山(1592m) 2011年11月3日

所要時間
 林道起点−−林道終点−−白草山/箱岩山分岐−−白草山−−白草山/箱岩山分岐−−箱岩山−−鞍部−−高森山−−鞍部−−沢に合流−−登山道−−林道終点−−林道起点

概要
 黒谷林道経由(入口にゲートあり)で白草山、箱岩山に登り、激笹藪を漕いで高森山に至り、高森山東側の谷を下って黒谷林道終点に出た。白草山、箱岩山は登山道良好&展望良好でお手軽ハイキングに最適な山。白草山は360度の大展望。箱岩山〜高森山間はほぼ激笹藪が連続。箱岩山から20mくらいは目印があったがその後は皆無で無雪期の訪問者はほぼ皆無らしい。箱岩山北東側の1660m峰から高森山間は笹に埋もれた廃道があるが、両側からの笹の浸食が激しく、笹との格闘度合いは道が全く無い場所と変わらない。背丈を越える笹で視界ゼロ、たまに倒木上に登って方向確認する必要あり。僅かでも樹林がある場所は笹が薄いので、できるだけ木の生えた場所をつないで歩くのがコツ。高森山東鞍部が近づくと樹林が発達し笹が薄くなる。鞍部から高森山間も比較的笹は薄い。高森山山頂は笹と背の高い樹林で展望皆無。帰りは高森山東側の谷を下ったが水は流れておらず滝のような急な地形もなく利用価値大。高森山だけ登るのならこの谷経由で鞍部に上がるのがいい


 阿寺山地の山はいくつか登っているが、何せ東京から時間がかかるので未踏峰の方が多い。今回の文化の日の飛び石連休は自主的に4連休として日本海側を目指すことにしたのだが、連休初日は日本海側の天気が悪いためまずは南の方で活動してから北上することにした。阿寺山地なら結構南にあるのでそこそこ天気はいいだろう。今回の目的地は白草山、箱岩山、高森山の3箇所で接近しているので短時間で回ることが可能だ。事前にちょこっとネットで調べてみたら白草山と箱岩山の間にある尾根に登山道があって、そこにつながる林道もあるとのこと。阿寺山地は登山道がなければ笹薮であり、登山道があるのは大いに助かる。ただ、道があるのは白草山と箱岩山の2山で、箱岩山から先は地形図では破線が描かれているが実際には道がないらしい。笹薮の程度は不明だが箱岩山から高森山までの距離は大したことはないしアップダウンも少ないので、よほどの激藪でない限りは高森山山頂も踏んでやろう。先週の鳩峰の石楠花や笹藪とどっちが酷いだろうか。

駐車スペースは路側のみ 黒谷林道入口(右の写真外に延びる)

 木曾御嶽南部の岐阜/長野県境は遠い。大滝村を突っ切れば近いのだが残念ながらどの道もゲートがあって一般車の通行は不可能なので中津川北部まで迂回して北上するしかない。伊那ICで降りて権兵衛トンネルを抜けて木曾に出て、あとはひたすら一般道をひた走る。途中、冷蔵庫に食料を忘れてきたことに気づいたが市街地を抜けてしまって調達できないと心配していたが、国道257号線沿いに何軒かコンビニがあって助かった。白草山の案内がある県道440号線に入り、あとは案内標識に従って上がっていく。最後に太い道に出て標識に従って左に曲がって少し進んだところが登山口の黒谷林道起点で、その手前の林道の路側が駐車スペースになっていた。ここは短時間の日帰りコースなので夜中から止まっている車は皆無だった。わざわざ東京から登りに来るやつも珍しいだろう。

林道入口のゲート 車道を直進すれば寺田小屋山登山口へ
案内板 林道から見た白草山方面

来た方向を振り返る 林道終点近くの岩壁

 翌朝、今日の予定は3山だけで午後は富山までの移動時間に当てているのでのんびり起きて飯を食い出発。朝は気温が低く長ズボンだが天気予報では気温は高めとのことで日中は暑くなるかな。林道起点はロープがかかっているだけで車でも入れるように見えたが、そのすぐ奥に施錠されたゲートがあった。しばらくは未舗装だが路面状態の良好な林道歩き。傾斜は緩やかで準備運動にちょうどいい。終点手前に岩壁が登場、岩屋さんだとこんなのを登れるのかなぁ。

林道終点 距離が正しいか確認はしなかった
もう一つの標識は何だろう? 沢沿いの登山道
高森山東側の谷。下山時に利用した 広くきれいに刈られた登山道
展望のよい尾根に出る 下界の山並み
高森山と箱岩山
こちらは白草山

 林道終点で橋を渡って明瞭な登山道歩きが始まる。白草山の人気度はまったく知らないが、この道の良さからするとかなりの人が登っているように思えた。標識は頻繁に出てくるし、笹は広く刈り払われて体に触れる藪はない。沢沿いの道から右に大きく曲がってトラバース気味に登っていく。下部は樹林で展望が悪いが、尾根に乗ると展望が開ける。いつ来ても不思議だがこの界隈はまるで山火事があったように笹原が広がる斜面が多く、通常なら勢力を広げるブナ科の樹林がほとんど見られない。地質の影響なのか、それとも気候の影響なのか。笹原の連続なので登山道が無いと籔漕ぎにかなり苦労するはずだが、白草山と箱岩山はこのまま立派な登山道が続くため楽ができる。これだけの距離にわたって笹原を切り開き、その状態を維持するのはかなりの労力が必要だろう。

白草山/箱岩山分岐 白草山方向は直進
白草山まで開けた笹の海が続く 山頂に向けて緩やかに登る
白草山山頂 鞍掛峠方面にも道が続くようだ
白草山から見た木曾御嶽と小秀山周辺(クリックで拡大)
白草山から見た箱岩山方面。山頂に続く刈払いされた登山道が見える
白草山から見た箱岩山〜木曾御嶽

 標高1610mの広い肩で県境稜線に上がり、ここで白草山方面と箱岩山方面の登山道が分岐する。まずは白草山を目指して直進する。ここを過ぎると白草山山頂までほとんど立ち木が無い広い笹原で、その中に一筋の刈り払いの登山道が延びていた。緩やかな斜面を登り切ると白草山山頂に到着。立ち木皆無で360度の大展望が広がる。北には木曾御嶽が聳えるが今日は上半分は雲に隠れてしまい迫力はイマイチ。土地勘が無いので山岳同定はほぼ不可能。東の方に見える山並みは阿寺山地最高峰の小秀山一帯だろうというのは分かるが他は・・・。どちらにしても今日は雲の多い天気で空気の透明度が悪く、霞んでしまってあまり遠くは見えなかった。天候がいい時は展望が楽しめるだろう。

白草山/箱岩山分岐 今度は箱岩山方向
箱岩山直下で樹林に突入 箱岩山山頂
箱岩山から見た高森山に続く稜線。全部笹の海だ!
箱岩山から見た南側の展望(クリックで拡大)

 次は箱岩山。分岐に戻って今度は北上する道に入る。こちらも完璧な刈り払いの道で。最後に傾斜がきつくなってひょっこりと山頂に飛び出した。こちらの山頂は樹林があり西から南側は展望が開けるがその他は立ち木が邪魔で展望は無い。目の前には高森山が見えておりそこにつながる稜線も丸見えだが、全部が笹藪に覆われているのがよくわかる。問題は籔の濃さだなぁ。それと踏跡の有無。薄くてもいいから踏跡か獣道があるといいなぁ。

箱岩山北側刈払い終点 目印は刈払い終点付近に2つだけあった

 山頂から北に向かってまだ刈り払いが延びておりラッキーと思ったのもつかの間で、20mほどで刈り払いが終わって一面の笹藪だった。背丈を越える高さに高密度で、全く隙間が無く踏跡皆無だった。残念。それでも高森山までの距離はそれほどでもないし、コースは基本的に下りだし、何より笹は乾いているのでこのまま籔に突入することにする。最初は高密度で地形がなだらかなので方向感覚が狂いそうだ。枯れ枝に赤テープがぶら下がり、私の他にも無雪期挑戦者がいるようだ。しかし目印はこのすぐ先にもう1か所だけで、そこから高森山まで目印を見かけなかったので、もしかしたら目印の主は途中撤退したのかもしれない。

樹林で笹が薄い区間を通過中 1660m峰への登り。高密度笹藪
目の高さで写真を撮るとこんな感じ 先を見渡すためには倒木に登る必要あり

  少し進むと笹が薄くなって背の低い樹林に変わるが1660m峰との鞍部付近から先は一面の高密度笹藪が続くようになる。特に1660m峰周辺は激烈で、高さは背丈以上あるし高密度で視界が無く、おまけに地形がなだらかで尾根がどこなのか判断できない。適当に下って行ったが途中の倒木に登って周囲の地形を確認したら南にずれていたので北にトラバースしたが、あまりの高密度笹藪で横移動はえらく苦労した。ここまで濃い笹は久しぶりだ。まあ、まだ志賀高原の根曲り竹よりはましで、両手でかき分ければ開くレベルではあるが。でも先週の鳩峰とは比較にならない濃さだ。この濃さで鳩峰の距離があったらめげそうだが、幸い本日の距離は短い。

これも倒木上から撮影。尾根が広く視界が無いと難しい 凹んだ場所が廃道
廃道に立ったが他の場所と変わらない まだ激笹藪の海が続く。ピークが高森山

 緩やかで広い尾根が続くので、たまに笹に埋もれた倒木に登って進行方向を確認しながら下っていく。傾斜が緩いので下りでも籔漕ぎは楽にならない。ただ、倒木に登って広範囲に笹の海を見渡すと僅かに凹んだ筋が確認できた。もしかしたら踏跡?と思ってそちらに向かい乗ってみると廃道であった。少し凹んで溝のようになっていて明らかに道だったと思われるが、今は両側から笹が浸食してそれらが絡み合い、普通の笹藪よりもかえって歩きにくいとも言えたし、そもそも相当薄い筋でマクロに見れば筋が見えるがミクロなレベルでは周囲の笹原と区別が難しいレベルでしかなかった。廃道を辿っても楽ができる状況ではなかったので、結局は笹の海を適当に泳いでも同じだった。

1560m肩で樹林登場、笹が薄まる 廃道もはっきりする

 激笹藪の海は1560m肩くらいまで続くが、その先は樹林が登場し、木の近くは笹が薄くなって急に歩きやすくなった。少しくらい尾根を外しても樹林の中を選んで進むとかなり楽ができるようになった。廃道も樹林の中に移ったようで凹んだ道が明瞭な個所もあった。

鞍部から登りにかかる 小さな沢が登りやすい

 高森山東側の1540m鞍部付近で再び笹藪が濃くなるが、登りにかかると樹林が復活して笹が薄くなり、周囲よりさらに笹が薄いごく小さな谷を登っていく。稜線上に谷があるのも不思議な話でこれが踏跡なのかもしれない。やがて谷が消えて笹藪になり、尾根が広がって直上がどこなのか分からなくなり、どうせ登りは上を目指せばいいのでできるだけ薄い個所を選んで北寄りを進んだ。

少しだけ石楠花あり 帰りに休憩した場所
間もなく高森山 高森山。背の高い樹林と深い笹藪の中(倒木上で撮影)

 石楠花が出現したりもするがごく僅かでほとんどは笹薮のままだ。山頂が近づいて樹林が深くなり、笹は薄くなるかと思ったら山頂付近は逆に笹が濃い。樹林と背の高い笹で周囲を見通せず、なだらかな山頂付近では最高地点がどこなのかピンポイントではわかりにくかった。最高地点らしき一帯に到着し、確かネットで高森山の記事を見たときに手製の山頂標識があったことを思い出し、笹薮の中をウロウロして木の高い場所に掲げられた標識を発見できた。この高さからして雪がある時期に付けたのだろう。山頂付近は休憩するような植生ではないので、少し下って藪が薄いところで休憩。

 ここで今後の行動を考えた。常識的には稜線を箱岩山まで戻るのだが、あの激笹薮の登りは勘弁してもらいたい。箱岩山→高森山は下りがメインだったからまだ我慢できたが、逆方向ではほとんど登りになってしまう。これを回避する手段としては高森山東側の谷を下ることである。これはネットで唯一発見した高森山登山記録に出ていたコースであり、稜線よりは確実に藪は薄いだろう。しかしその記録はコースの細かい状況は書かれておらず、枯れた沢を上がったとしか書かれていなかった。もし滝が出てきたらどうしよう? でも、あの笹薮を考えれば藪の斜面の高巻の方がまだいいと思えたし、地形図ではこの谷は崖マークはないので滝があってもせいぜい10m程度だろう。高巻も大したことがないのではないか。どうにかなるだろうと谷を下ることに決めた。

鞍部から谷に下り始める 下り始めも激笹藪
標高1530m付近。笹が薄くなり始める 標高1480m付近。笹地帯の最後
標高1450m付近。やっと笹から完全開放 これでも谷の真ん中

 東鞍部近くまでは笹はさほど濃くないが鞍部付近は高密度でもがくように進む。鞍部で右に折れて谷を下るがここもまだ高密度の笹薮で少し地形がへこんでいるだけでまだ沢の感じはしない。でもそれなりの傾斜の下りなので藪漕ぎは楽になる。やがて足元は土だったのが小石が現れるようになったがまだ両側から笹が覆いかぶさって激藪状態。この沢は非常に小さく大雨でない限りは流れが出るようなことはなさそうだ。少しずつ枯れ沢の幅が広がると笹のかぶり方もおとなしくなり、徐々に歩きやすくなってくる。標高1450m付近でやっと笹から開放され、矮小な樹林帯に変わり歩きやすくなる。沢の様相は相変わらず非常に細く、気を抜くとどこが沢なのかわからなくなってしまうほどの小ささだ。ただ、笹が消えると沢の両側も当然笹はないので、別に枯れ沢の中を歩く理由はなくなり適当に歩きやすいところを歩けばいい。私は主に右岸側を下った。

ピンクリボンが出ると沢が近い 広い沢はすぐそこ
沢に出た 下ってきた谷。谷に見えないくらい浅い

 やがて正面にピンクリボンがいくつも現れ、そのすぐ先が明るく開けた沢だった。今下ってきた沢よりも幅が大きく、下から登ってきた場合はこの分岐を判別できるかがポイントになろう。振り返ると枯れ沢は非常に小さく、ぱっと見た感じでは沢のような気がしない。せっかくなのでこの分岐点の木に赤テープを巻いて、高森山方面の文字を書いておいた。まあ、こんなのが役に立つことはないだろうけど。

今までより格段に広い沢を下る 流れがあるところは滑りやすい
作業道?登場 割と歩きやすい
作業道が沢を横断 左岸を下っていく

 ピンクリボンは林業関係者の目印らしく、これ以降は沢に沿ってリボンが続いていた。最初はリボンを無視して沢の中の歩きやすいところを適当に下っていったが、流れが出てくると苔むした岩が多くなり滑りやすくなって歩きにくくなり、自然と岸にルートを求めるようになる。ピンクリボンは沢の中ではなく岸に並んでおり、よく見ると薄い踏跡があるではないか。笹藪が刈られているわけではないがまったくの藪でもなく、滑りやすい沢の中より歩きやすそうなので途中からリボンルートを辿った。最初は右岸を下り、途中で2回くらい?沢を渡って最後は左岸沿いを下っていったと思う。

堰堤手前 左から支流が合流、これを渡る
登山道との合流ポイント 林道終点に出る

 堰堤が見えると踏跡は左の支流を渡り、登山道に合流した。歩いてきた踏跡方向は枯れ枝で入れないようになっており、登山道が右に曲がる場所であった。ただ、堰堤よりも上部は特に沢が険しい部分はなかったので、踏跡を気にせずに歩きやすいところを適当に拾って沢を遡上して問題ないだろう。僅かで林道終点だった。

林道起点からの距離か 林道を歩く
林道起点付近 路側の駐車スペースは満杯

 林道に出てテクテク歩いていると登ってくる登山者とすれ違う。もうお昼近いが短時間で登れるルートなのでこんな時間から歩き出しても問題ないのだろう。それに天気予報は後半ほど天候が回復基調だし。ゲートを通過し舗装された林道に出ると、路側には何台も車が並んでいた。そして私が車を置いた駐車余地群は全て埋まっていた。たぶん合計で10台は下らないだろう。思ったよりも人気がある山だったようだ。

 

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